子どもの1年と大人の1年

 先日息子の誕生日だった。

 子どもでも食べれるシフォンケーキをバースデーケーキとして用意し、プレゼントも用意した。生まれてほんの数年で、歩くようになり、色やパズルやおもちゃなど様々なものに興味を示し、言葉を理解し、感情や思考を伝える手段も会得していく。子どもの成長というのは目覚ましいものだ。

 大人はほんの数年ではあまり変わりがない。なんだったら10年ぶりに再会した友人とも、「変わってないね〜」と笑いながら談笑できてしまう。

 学生時代の友人の弟や妹の話を聞くと、「ついこの間まで小学生だったのにもう高校生!?」とか、「あのあどけない妹さんがもう結婚!?」と、まるで浦島太郎になった気分になる。自分自身に変化がなくても、友人の妹や弟、親戚の子など身近に子どもがいると月日の流れを大きく感じさせてくれる。

 

 しかし、そもそも幼児がいる世帯というのが今やマイノリティになりつつある。

 

 平成元年(1989年)には幼児がいる世帯は41.7%だったが、令和元年(2019年)には21.7%まで低下している。また2022年の出生数が80万人を割る、42年連続出生数低下など、子どもが身近にいる人がどんどん減っている。

 時間の流れへの敏感さが落ちることにより、茹で蛙状態に陥る人が増えてしまうのではないかと私は危機感を持っている。私たち自身が変わらなくても、世界や社会は常に変わり続けている。

 

 子ども達は10年のうちに成長をしているだろうが、大人達は10年のうちに老化していることを意識しなければならない。いつまでも同じ環境が続くわけではないことを、子ども達は教えてくれる。

 変化が目につきやすい子どもの1年、変わり映えのない大人の1年。どちらも時間は同じだけ流れていることを忘れてはいけない。