老後の遊び相手

 GW、私は実家に来ている。

 大人になり家を出て、年に数回しか両親とは顔を合わせなくなった。子育てを終えた両親も仕事は定年退職の歳を超え、再雇用だとか趣味の習い事だとかと時間を過ごすようになっている。

 うちの母はずっと専業主婦だった。四年制の大学を卒業した後、2年ほど教授のツテで事務職をした経験はあるが、結婚と同時に寿退社。そこから専業主婦になり、子どもを3人産み育てた。出産当時は会社所有の団地に住んでいた。周りは同年代の専業主婦子育て世代だらけで複数の家庭で子どもをまとめて遊ばせて集まったり、誰かが病気で子どもの面倒を見れないと連絡があれば預かったり、逆に自分の調子が悪い時は預けたりとコミュニティ単位で育児をしていたらしい。

 一番下の子(私)が幼稚園に入る年に団地を出て一軒家を建てた。田舎ではよくある、庭付き一戸建てだ。そして子どもたちの幼稚園や小学校、中学校などのPTAや保護者会に参加したり、子ども同士のお出かけに親が付き添ったりとした機会を通して気の合う仲間を見つけ、今ではその仲間と卓球だのヨガだのサークル活動に勤しんでいる。我が母ながら、優雅な老後生活だな、と羨ましく思う。

 私たち共働き世代には、そういったコミュニティがない。保育園や幼稚園のママ友などが現代ではそういったコミュニティの形成の一助になるだろうが、新型コロナウイルスの蔓延により保護者が集まる機会はほぼなくなった。送迎の短い時間でしか面識を持つことはない。子ども抜きで集まれるほど親密になりようがない。

 老後、人と集まれる機会をどれだけ持つかは社会性の維持、充実感に大きく関わる。

 その老後に集まれる仲間作りの機会は、私たち共働き世代は非常に限られるだろう。専業主婦が多かった時代に比べて、私たちには時間の余裕がない。仲の良い仲間を探すにはどうすればいいのか。

 ここで、SNSが大きく活躍するのではないか、と私は考える。日常からその人の発信する情報を受け取り、人となりを知ってから交流が持てる。同じ趣味の仲間を探すのにSNSは有用だ。

 例えば写真が趣味ならば、同じように写真をあげているアカウントの相手にカメラについて話を聞いたり、撮る時の露出や速度など、それぞれのこだわりについて語ることもできる。新しい製品についての意見を交換したり、良い写真スポットの共有などもできる。互いの人となりをよく知り合ってから一緒に写真を撮りに出かけることだってできる。

 仕事以外で趣味での繋がりがあることは社会性の維持に非常に有益だ。

 もちろんSNSが持つ危険性も同時に警戒しなければならない。なりすましや宗教勧誘目的、詐欺など、巧妙な手口で個人情報や財産を狙う輩は残念ながら存在する。

 

 仕事や子育てなどで日々忙しなく過ごしている私達が、より快適な老後生活を迎えるためにも、人との繋がりは非常に大切だ。人との繋がりがなく刺激の少ない日々を過ごせば、それだけボケるのは早くなる。老後を快活に過ごす為にも、仕事以外でも繋がれる人との縁をSNSでうまく見つけると良いかもしれない。