丁寧な暮らしにあこがれはするものの。

 主婦雑誌を読んでいると、至る所に紹介されている「丁寧な暮らし」。

 

 手作りのジャムやお菓子。整えられた室内。食材にこだわった料理。衣類の手入れ。

 

 そういった生活を雑誌の記事でなぞり、心はときめく。こんな暮らしを自分もしたい、と想いはせるものの、実際の自分の生活は日々とはかけ離れている。

 

 床やテーブルの上に散乱する子どもたちが書き散らかしたお絵かきの紙、おもちゃ。買ってきスーパーの総菜や菓子パン。いつ買ったかも思い出せないほど着古した衣類。

 

 一度丁寧な暮らしに憧れて手作りのマーマレードジャムを作った。しかしその手間とかかった時間、そしてジャムに使われる砂糖の量という現実。出来上がったジャムは確かに美味しかったが、子ども達にはあまり評判が良くなく完全に自己満足で終わった。

 

 人には、それぞれに合ったライフスタイルがある。素敵に思える物も、いざ自分にあわせて見たらなんだか似合わない。そんなことはよくあるのだ。実際に、丁寧ではない暮らしでも、私は毎日楽しく子どもたちと笑顔で過ごしている。それでいいではないか。

 

 他人と比べて自分の欠点ばかり見ても、幸せにはなれない。自分自身を見つめ、自分自身が苦しいところは変えていく。苦しくないところは、たとえ他の人から憧れられないようなものであっても、自分たちを笑顔にできるならそれでいいのだ。