寝かしつけとバイオレンスのララバイ

 子どもを寝かしつける。

 この場面を、穏やかな時間が流れると想像する人は多いだろう。かく言う私もそうだった。寝かしつけと言えば布団に横並びで入って読み聞かせの絵本を読んで、絵本を読んでいるうちに子供がそっと静かに寝入る。そんな風に思っていた。

 

 だが現実は全く違う。

 

 お昼寝の有無に関わらずパワフルな子ども達。長男は寝る直前まで、まるで運動部の雨の日の室内練習のように廊下ダッシュを何本もこなし、次男もそれを叫びながら追いかける。真っ暗にした寝室に入っても、お布団の床の不安定さを面白がり、まるでトランポリンで遊ぶかのようにジャンプの連続。

 ようやく寝っ転がったかと思いきやお芋ゴロゴロで遊ぶ。母の身体をアスレチックに見立てて上り下り。ようやく眠くなってきたかと思ったら頭突き、裏拳、かかと落としが飛んでくる。「息子サンドウィッチ~」と称して両脇からぐいぐい押されるので私は布団で背中をつけて横になることすら許されない。横向きに寝て、腹側と背側に両手を伸ばし、腕は息子たちの枕替わりにされる。そして次男は素肌に触れながらでないと寝付けない質なのか、私の腕をさすったりつねったりしてくる。くすぐったいし痛い。そして時に腕だけでは飽き足らず足で蹴りを入れてくる。結構痛い。

 

 子どもたちの遊び相手をするのも体力がいるが、これは自分自身も楽しめることが多いので苦ではない。しかし、正直に言うと寝かしつけは苦行だ。子ども達を興奮させることなく落ち着かせるために、自分は心を無にして寝る時間の雰囲気づくりをする。怒ったところで子どもたちが素直に寝るわけではない。一日の終わりがほっとするようなものであってほしい。嫌な思い出で一日が終わるのは私が嫌だ。

 だから私はひたすら耐える。そうして耐えて耐えて、一緒に寝落ちしてしまう日もあれば、寝かしつけ後の息抜きタイムを満喫できる日もある。

 

 親と言えど、一人の人間だ。私にもリフレッシュの時間がなければやっていけない。だから息子たちよ、今日も日中にできるだけ遊びつくして、電池が切れるように眠ってくれ。

 

母より。