画面越しでは本当の体験は得られない

 近年IT化が進んで、現地に行かなくても済むことが多くなった。

 

 外国の景色はグーグルマップで見られるし、海外の美術館にある絵画の鑑賞もネット経由で出来る。外国人との会話だってAIで語学学習ができる。音楽だってCDを買わなくてもiTunesでダウンロードできるしYouTubeで視聴することもできる。本も本屋に行かずに電子書籍で手持ちのデバイスで読むことができる。

 

 しかし、本当に記憶に残る体験や人生観を揺るがすような体験は、現地や現物で五感を全て使わないと得られないと私は考える。

 

 野菜の成長を本やネットの知識で得たとしても、自分で実際に育てて見ないとその成長過程や、実際に成育するために必要な世話の仕方は身につかない。

 スマホやPCでアーティストの楽曲やライブ映像を視聴することができても、現地で生で聞く音圧や身体に響く振動、熱気は味わえない。

 

 視覚だけや聴覚だけといった、偏ったインプットによる体験は定着しづらい。実際に体を動かし、触覚や嗅覚や味覚といった、画面越しでは使えない多くの感覚器官を用いることで、より深い体験が得られる。

 

 スマホやネットの力は確かに偉大だ。あらゆる物事について、家から一歩も出ることなく知識として取り入れられる。だが、人間は実感を伴わない知識は定着しにくい。

 本当に豊かな人生を得るためにはあらゆる場所に赴き、五感で吸収することをおろそかにしてはいけない。