嫌いでもいい。

 好き嫌いなく食べなさい。

 みんな仲良く遊びましょう。

 

 幼少のころ、こういう言葉をよく聞きませんでしたか?

 私は子どものころ、この言葉を真に受けて過ごしました。食べ物も、人付き合いも、趣味嗜好も好き嫌いなく、平等に、公平に。時に「嫌だな」と思う感情すらも否定して、そう思ってしまう自分を責めてしまうこともありました。

 しかし、大きくなったある日、一つの言葉を知り心が洗われました。

 

「きらいでもいいのよ。親切にしなさい」

 

 万人に好かれるものなどこの世に存在しません。何をしても好意を寄せる人と無関心な人と嫌悪する人が存在します。同様に、あなたが他者の言動に好意を寄せることも無関心でいることも嫌悪を抱くことも当然のことなのです。

 ただし、嫌悪を抱いたとしても、それはその相手を攻撃する理由にはなりません。嫌悪を抱いた相手に、罵詈雑言を投げつけ引きずり下ろしたとしても、あなたは豊かにも幸せにもなりません。

 

 全てを好きになる必要はありませんし、全てに好かれようとする必要もありません。あなたにとって大切な人や大切なことに誠実にいること。親切でいること。それだけであなたを取り巻く環境が少し変わるかもしれません。