香りについて考える

 先日、医療用の某栄養剤の試飲会に参加した。

 医療用の栄養剤なので、味によって栄養素は変わることはなく全て同じ成分。中身の液体の色も同じ色。違うのは香料と缶の色のみ。

 

 試飲した味は下記の通り

 バニラ、コーヒー、ストロベリー、バナナ、メロン、黒糖、抹茶。

 

 紙コップに注がれる液体は全てミルクティー色。抹茶味だから緑色、なんてことはない。見ただけでは全て同じ飲み物にしか思えない。いざ試飲、と紙コップに口を近づけた際、香りは確かに表記の通りの香りがした。

 口の中に含む。味は全て同じだ。だが、鼻から抜ける香りがそれぞれのフレーバーの香りで、舌で感じる味は同じはずなのに、バニラならバニラ味のアイスを溶かしたものを飲んでいる気分になった。味はもちろん栄養剤なので激甘である。

 何度も何度もいろんな味を試したが、味は同じなのに香りが異なることで、違うものを飲んでいる気分になる。そして同じ味なはずなのに、これは美味しい、これはちょっと苦手、といった感想が飛び交う。

 同僚の一人が、抹茶味だけは飲めない、と言った。聞けば普段は緑茶や抹茶が好きでよく口にするという。好きなものだからこそ、香料だけでは違和感を感じるのかもしれない。

 

 香りによって味が異なることを演出している食べ物といえば、これからの季節に美味しいかき氷のシロップも当てはまる。

 

 香料だけで味を演出する食べ物のの味を選ぶ際は、案外好みの食べ物からかけ離れた味の方が美味しく感じられるかもしれない。